2022.11.07

お知らせ

本学教員の論文(共同研究)が英国王立協会の国際学術誌「Biology Letters」にオンライン掲載されました。

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植物が素早く動いて、昆虫による食害から身を守ることを実証

 一般的に、植物の動きは動物と比較してとてもゆっくりで、私たちが認識することは困難です。しかし、中には、接触などの物理的刺激に応答し素早く運動する種が存在します(オジギソウが有名です)。なぜ、これらの植物は素早く動くのでしょうか。その生物学的意義は、ダーウィンの時代から生物学者や市民の興味関心をひきつけてきましたが、これまで明らかになっていませんでした。

 田川一希 宮崎国際大学教育学部講師、大崎遥花 京都大学理学研究科・日本学術振興会特別研究員CPD、渡邊幹男 愛知教育大学教育学部教授の研究グループは、接触刺激に応答して素早く花を閉鎖するトウカイコモウセンゴケと、それを専門に食べるイモムシであるモウセンゴケトリバの幼虫を材料として、植物の素早い運動が、昆虫による食害から身を守るうえで役立つことを発見しました。

 研究グループは、実験室環境下で、トウカイコモウセンゴケにモウセンゴケトリバを提示し、それらの行動を観察しました。その結果、トウカイコモウセンゴケはモウセンゴケトリバによる食害に応答して、概日時計による通常の花閉鎖の9倍の速度で花を閉鎖することが分かりました(図1)。次に、閉じない花と閉じる花を用意し、モウセンゴケトリバによって胚珠が食害される株の割合を比較しました。閉じない花は、工作用のレジンを微細ピンセットで花弁に滴下し、紫外線ライトを照射することで作出しました。その結果、閉じる花では、閉じない花と比較して、胚珠の食害率が統計学的に有意に低くなりました。また、たとえ胚珠が食害された場合であっても、胚珠を食害するまでに要する時間は、閉鎖する花で統計学的に有意に長くなりました。これらの結果から、トウカイコモウセンゴケの素早い花閉鎖運動は、将来種子になる箇所である胚珠を、食害から効果的に防御する機能があると示唆されました。

 本研究成果は、2022年10月26日に、英国王立協会の国際学術誌「Biology Letters」にオンライン掲載されました。

 なお、研究材料のトウカイコモウセンゴケは宮崎県には自生していませんが、近縁のコモウセンゴケとモウセンゴケは県内の湿地(川南湿原や高鍋湿原)で観察できます。これら近縁種でも同様の素早い運動が見られることが知られています。

(参考)以下のページから、花閉鎖反応の動画をご覧いただけます。

(1)モウセンゴケトリバによる花弁の食害に応答して花を閉鎖し、花弁で子房を覆い隠すトウカイコモウセンゴケ

 https://figshare.com/s/de54b454ff91724f08b0

(2)モウセンゴケトリバによる花弁の食害に応答して花を閉鎖し、花内部からモウセンゴケトリバを追い出すトウカイコモウセンゴケ

 https://figshare.com/s/bb524cbe6572306190dc

(3)物理的に閉鎖を抑制したトウカイコモウセンゴケ

 https://figshare.com/s/bcb0596e1932519a893a

 

 

<発表論文タイトルと著者>

タイトル:Rapid flower closure of Drosera tokaiensis deters caterpillar herbivory(トウカイコモウセンゴケの素早い花閉鎖は、イモムシによる食害を抑制する)

著  者:Kazuki Tagawa, Haruka Osaki, Mikio Watanabe

     田川 一希(宮崎国際大学教育学部)

     大崎 遥花(京都大学理学研究院・日本学術振興会特別研究員CPD)

     渡邊 幹男(愛知教育大学教育学部)

掲載誌:Biology Letters DOI:https://doi.org/10.1098/rsbl.2022.0373

研究に関するお問合せ先

田川 一希(宮崎国際大学教育学部) hin@kyudai.jp

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