2023.05.08

お知らせ

宮崎国際大学の生成系AI(主に対話型AI)への対応について

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令和5(2023)年4月28日

宮崎国際大学学長 村上 昇

  

 周知のとおり、生成系AI(ジェネレーティブAI)、その中でも対話型AI(ChatGPT, BingAI,Bard等)が教育に及ぼす影響が懸念されています。わが国はサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会Society5.0の実現を進めてきました。この対話型AIは、まさにこのSociety5.0実現の強力なツールになると見ることもできます。今回の対話型AIによる文章作成、添削、翻訳、あるいは要約等の機能、表の作成や統計処理/会計処理、簡単なプログラミング、広告・広報作成や経営戦略の作成等々の機能(能力)は目を見張るものがあり、多くの活用が期待できます。

 一方で、教員の提示した課題に対するレポート作成、データ解析、あるいは卒業論文や学位論文の作成にこのAIを学生が利用すれば、(立派なものができるかもしれませんが)思考力、創造力、推理力あるいは作文・表現力等、涵養すべき大事な能力を育てられなくなる可能性も少なからずあると思えます。また、対話型AIによる回答には多くの虚偽があるとの指摘、企業情報や個人情報の漏洩、拡散の可能性の指摘、著作権や法律上の問題、倫理面の問題の指摘等、注意すべき点も多々あるようです。

 今後、時代とともにAIはさらに進化し続けることは間違いありません。私達教育者、職員、学生は、このようなAIとどのように共存し、その中で、学生や教職員が身につけなければならない能力とは何か?またその能力を培うにはどのような教育法が有効かを常に考えていくことが必要です。もちろん、対話型AIをいかに利用できるかの能力、その欠点や利点をどう活用していくかの能力を身につけることも重要と思われます。

 私達の脳の前頭連合野において生み出される推理、判断、思考力がすべてこのAIで置き換えられるとは到底思えませんし、前頭連合野や大脳辺縁系の作り出す別の種類の記憶(エピソード記憶、他)や、我慢、根気、思いやり等の感情等を、このAIが生成することは無理かもしれません。そのため、常に、対話型AIと人間の脳との違いを理解し、対話型AIにどのように向き合い、利用するかを考えて頂きたいと思います。

 教員養成課程を有する教育学部、また英語教育コースを有する国際教養学部の先生方は、学生たちが将来担う教育現場で、このようなAIをどのように活用するかを、真剣に考えて教育して頂きたいと思います。もちろん、学生の評価方法も変えなくてはいけません。レポートだけによる評価ではなく、ディベート能力(瞬時の批判的思考力の育成)や対話での評価等も取り入れる必要があるでしょう。

 最後に、本学では、生成系AI、特に対話型AIについて、教職員・学生に情報を共有しつつ、有効活用を推進し、新たな教育方法・新たな評価方法とAIを協働させながら、社会で活躍できる人材育成を目指していきたいと思います。 

 

※本公表は、本学の教育研究評議会(令和5年4月28日実施)で承認されたものです。

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