2024.09.20

学生プロジェクト

MIUチャレンジプロジェクト「土呂久に集まれ!―社宅跡〜旧窯跡整備プロジェクト―」8月活動報告

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宮崎国際大学では、学生たちの自主的課題解決の取り組みを支援するチャレンジプロジェクトを行っています。今回は教育学部の学生12名で構成される「土呂久に集まれ!―社宅跡〜旧窯跡整備プロジェクト―」プロジェクトをご紹介します。MIUチャレンジプロジェクトが発足した当初からの取り組みで今年で3年目となります。8月の報告を代表の三浦智祥さん(教育学部4年)がしてくれましたので、ご紹介します。

チャレンジプロジェクト(土呂久に集まれ!)8月活動報告

                                      三浦智祥(教育学部4年)

目次
1.     本プロジェクトの背景
2.   今年度の目的
3.   8月活動内容
3-1.  学生ミーティング(計5回)
3-2.  土呂久公害に関する第一人者である川原先生へご挨拶(R6年7月31日)
3-3.  高千穂町役場訪問・町長へインタビュー(R6年8月20日)
3-4.  土呂久訪問(R6年8月20日)
4.    今後の目標

1.本プロジェクトの背景

現在作成中のWebサイト

土呂久は宮崎県高千穂町に位置しており、今から約65年前まで土呂久鉱山として栄えていました。土呂久鉱山ではかつて、銀、スズ、また猛毒のある亜ヒ酸の製造が行われており、亜ヒ酸製造により、環境が汚染され、多くの人々が慢性ヒ素中毒症に苦しみました。現在では、豊かな自然が取り戻され、綺麗な桜や紅葉、なば(原木椎茸)、畜産業が魅力的です。

私たち宮崎国際大学生は、令和3年度に宮崎県が主催する「土呂久地区を学ぶフィールドワーク」ではじめて土呂久地区を訪れました。このフィールドワークを通じて、過去土呂久鉱山で起きた“砒素公害”について学び、現在土呂久地区が抱えている「過疎化」という問題を知りました。

そこで、宮崎国際大学の学生で土呂久地区を明るくしたい、魅力溢れる“土呂久の今”を発信したいと考え、令和4年度からMIU学生チャレンジプロジェクトにおいて「土呂久に集まれ!」を企画し、「宮崎国際大学の学生と土呂久地区の方々との交流を盛んにし、これからも繋がりを持てる基盤を作ること」を初年度の目的として活動をはじめ、「憩いの場」を作ることができるよう社宅跡の整備活動や桜の植樹、記念プレートの設置などを行いました。昨年度も引き続き活動し、「①宮崎国際大学の学生と土呂久地区の方々との交流を盛んにし、これからも繋がりを持てる基盤を作ること②土呂久地区の魅力を発信すること③地元の方々や土呂久地区の魅力を知った県内外のたくさんの人々が集まる憩いの場を作ること」を目的として、昨年と同様の活動に加えて学生が土呂久を知るための勉強会を週2回行うなどしました。

過去2年間の活動の中で、土呂久の公害や魅力などの必要な情報を集めることはできたものの、情報をまとめ、整理することができていない、なぜ憩いの場を作ることを目的としているのか、またどのような場所にしたいか明確になっていない、鉱山跡地の整備をすることの有用性(教育の場として活用するにはどうすればよいか)が考えられていない等の多くの課題が挙げられました。

2.  今年度の目的

過去2年間ででた課題の解決を目指し、私たち「土呂久に集まれ!―社宅跡〜旧窯跡整備プロジェクト―」は今年度の目標を以下の3つに設定しました。

宮崎国際大学の学生で過疎化が進む土呂久地区を明るくしたいと考え、「憩いの場」を作ることを目的としているが、土呂久に興味を持った人は増えたが、まだ「来る」までには至っていない。また、様々な方が行き来できるような足場を整備することができていない。そこで、土呂久に来たときに土呂久の豊かな自然を感じ取り、一息つくことができるような場所を作りたいという思いから

1 地元の方々だけでなく、土呂久地区の魅力を知った県内外の人々が集まる「憩いの場」をつくること

「今の土呂久を発信してほしい」という土呂久の地域の方々に貢献するために土呂久の公害や魅力などの必要な情報を集めることはできたが情報をまとめられていない、また、具体的な内容や開設時期などを定めておらず、いまだに十分な魅力発信ができていない。そこで、WEBサイトの項目・内容を挙げ、役割分担を行い今年度中にWEBサイトを開設したいということから

2 現在の土呂久地区の魅力を発信すること

鉱山跡地の整備をすることの有用性―教育の場として活用するにはどうすればよいか、が考えられていない。身近な宮崎県の公害である「土呂久公害」を挙げて小学生向けに授業を展開できるようにするために

3 土呂久地区を教育の場として活用するための土台をつくること

これらの目標に向けて、8月は以下のように活動を行いました。

3.8月の活動内容

3-1. 学生全体ミーティング(計5回)

学生全体ミーティングでは、初代プロジェクトから活動している4年生の三浦、中村を中心に、目標「2 現在の土呂久地区の魅力を発信すること」に向けたWEBサイトの開設を目指し、話し合いやWEBサイトのコンテンツの作成、土呂久の過去を記した資料の整理を行いました。WEBサイトでは、目標「2 現在の土呂久地区の魅力を発信すること」を達成できるように、土呂久の魅力であるなば(原木椎茸)畜産業などについて掲載する予定です。今までの活動の中で私たちが感じてきた魅力や、土呂久に住む地域の方々から聞いた土呂久の魅力を文章に表し、その魅力を伝えることができる写真選びを丁寧に行いました。”土呂久の今“を知ることができる充実したサイト作りを目指して、メンバー同士で話し合いながら作成をしています。また、WEBサイトでは私たちの活動内容なども掲載していく予定です。そのために過去2年間の活動に参加した3年生、4年生のメンバーを中心に活動内容をまとめる作業も行いました。

【ミーティング内容】

8月1日:話し合い、WEBサイトコンテンツ作成(参加者:三浦、中村、髙松、橋本、工藤)

8月6日~9日:土呂久の過去を記した資料整理(参加者:三浦、中村、橋本、工藤)

現在作成中のWebサイト

土呂久の過去を記した資料整理の様子

3-2.土呂久公害に関する第一人者である川原先生へご挨拶(R6年7月31日)

長年、土呂久について、記録・支援している川原先生のところへご挨拶に伺いました。かつては新聞記者として、新聞記者を辞められた後は公害患者の支援と歴史に関する著述を続け、現在は宮崎大学の土呂久歴史民俗資料室を担当する客員教授をされています。

7月31日のご挨拶では、今年度の「土呂久に集まれ!」プロジェクトの説明を行い、実際に亜ヒ焼きが行われていた場所についてなど“土呂久の過去“についての貴重なお話をうかがいました。また、目標「3 土呂久地区を教育の場として活用するための土台をつくる」ために、マップの作成を予定しており、そのための相談にも乗っていただきました。川原先生が土呂久について書かれた著書『和合の郷』をいただきました。

川原先生(宮崎大学)から自身の著書『和合の郷』の献本を受けるメンバー

3-3.高千穂町役場訪問・町長へインタビュー(R6年8月20日)

第2回の高千穂町役場訪問では、甲斐宗之 高千穂町長へインタビューする機会を設けていただきました。目標「②現在の土呂久地区の魅力を発信する」を達成するためのWEBサイトの開設に向けて、土呂久地区がある高千穂町の魅力を知ることも大切だと考え、高千穂町について調べた上で、町長の考える高千穂や土呂久の魅力などについてインタビューをさせていただきました。

高千穂町の歴史や魅力、現在の取り組みなどについて町長の熱い思いをお聞きすることができ、私たちの活動にとって大変貴重な時間でした。インタビューの内容については、今後開設するWEBサイトに掲載する予定です。(参加者:三浦、中村)

 

3-4.土呂久訪問・インタビュー(R6年8月20日)

8月20日の土呂久訪問は高千穂町役場訪問と同日に行いました。6人のメンバーが参加し、午前中は二手に分かれ、高千穂町役場訪問組(三浦、中村)以外のメンバー(髙松、岩切、上床、橋本)の4人はいつも整備している場所(社宅跡)に行きました。とても草が伸びており、過去2年間の活動で設置した記念プレートが見えない状態になっていました。いつもお世話になっている地域の方、佐藤和明さんも一緒に草を刈ってくださり、草を刈る上でのアドバイスをいただきました。

午後からは合流しメンバー6人で高千穂町岩戸の山奥にある土呂久地区を訪問しました。土呂久地区のいつもお世話になっている方々、土呂久公民館長である佐藤元生さん、和明さん、佐藤孝輔さんと土呂久公民館で話し合いを行い、プロジェクトの進捗報告とWEBサイトのコンテンツについて相談をしました。話し合いの結果、土呂久の方々にこそ私たちの活動を知ってもらいたいと思ったため、WEBサイトだけでなく、サイト内に提示する内容をパンフレットとして作成し、配布する予定です。

報告後、元生さん、和明さん、孝輔さんにインタビューをさせていただきました。こちらのインタビューの内容についても、今後開設するWEBサイトに掲載する予定です。

4.今後の目標について

まずはWEBサイトの開設に向けて学生ミーティングの回数を増やし、メンバー全員で検討を行いながら「土呂久の今」について知ることのできるWEBサイトの開設を10月中に行います。しかしなかなかメンバー同士の日程が合わず、全員での話し合いの機会を設けることが難しいのが現状です。ミーティングの内容は文書を通して共有を行い、zoomなどを使用して少しでも多くのメンバーで話し合いを重ねていく予定です。

 

三浦さん、ありがとうございました。                                                                                   宮崎国際大学では、学生が自主的に課題解決に取り組む「チャレンジプロジェクト」を推進しています。土呂久地区の皆さん、関係する方々のご協力よろしくお願いいたします。

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