2025.01.21

学生プロジェクト

【MIUチャレンジ・プロジェクト】―社宅跡整備プロジェクト―【9月活動報告】

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宮崎国際大学では、学生たちの自主的課題解決の取り組みを支援するチャレンジプロジェクトを行っています。今回は、教育学部の学生12名で構成される「土呂久に集まれ!」プロジェクトをご紹介します。MIUチャレンジプロジェクトが発足した当初からの取り組みで今年で3年目となります。

今回は中村朱里さん(教育学部4年)、國谷公平さん(教育学部2年)にこのプロジェクトの今までの経緯や目的、これからについて語っていただきました。

チャレンジプロジェクト(土呂久に集まれ!)9月活動報告

「土呂久に集まれ!―社宅跡整備プロジェクト―」は、かつて土呂久鉱山で発生した砒素公害の影響を受けた宮崎県高千穂町土呂久地区に焦点を当て、以下の3つの目標に向かって活動しています。

1 地元の方々だけでなく、土呂久地区の魅力を知った県内外の人々が集まる「憩いの場」をつくること

2 現在の土呂久地区の魅力を発信すること

3 土呂久地区を教育の場として活用するための土台をつくること

これらの目標に向けて、9月は以下のように活動を行いました。

 

1.WEBサイトの作成

目標「2現在の土呂久地区の魅力を発信すること」に向けたWEBサイトの開設を目指し、それぞれのメンバーでコンテンツを作成しています。

サイト内には「沿革」「宮崎県高千穂町」「土呂久の魅力」「活動内容」などについて掲載していく予定です。

※内容については変更する可能性があります

↓WEBサイト「ホーム」(作成中)

 

↓WEBサイト「土呂久の魅力」(作成中)

 


2.土呂久公害に関する第一人者である川原先生による土呂久学習(R6年9月29日)

9月29日には、長年土呂久公害について、記録・支援している川原先生に宮崎国際大学に来ていただき、「土呂久鉱山の歴史」についてのお話を伺いました。以下の内容は、お話していただいた内容を要約しています。

 

土呂久(外録)鉱山の歴史

かつて宮崎県高千穂町岩戸にあった土呂久鉱山(1935年頃まで「外録鉱山」と呼ばれていた)は、時代や製造者などによって、以下の4つの時期に分けることができます。

 

①  銀山時代(1616年~1868年)

この時期は銀が中心に採掘されていました。歴史的には大分の鉱山師(豪商)・守田三弥が開発した時期(1616年~1647年)と延岡の内藤藩が直営した時期(1852年~1868年)の2つの時期に分けられます。当時の資料より、銀を含む鉱石を採掘し、灰吹法によって鉛と銀を分けて採掘していたことが記録に残っています。

 

②  川田時代(1920年~1933年)

明治以降、何度か所有者が変わり、第一次世界大戦後には、アメリカの綿花畑に空中散布する殺虫剤の原料として亜ヒ酸の需要が増加し、日本各地の鉱山で亜ヒ酸製造が盛んになると、外録鉱山でも1920年に採掘した硫ヒ鉄鉱を亜ヒ焼き窯で焙焼して亜ヒ酸の製造が始まりました。亜ヒ酸と亜硫酸を含む亜ヒ焼き製造に伴い、製造時に発生する「煙」が周囲の環境を汚染し、その結果住民の健康に大きな被害を与え、また農林畜産物にも悪影響を及ぼしました。

 

③岩戸鉱山時代(1933年~1941年)

1936年に岩戸鉱山会社が設立され、親会社である中島飛行機が航空機に使うスズを必要としました。主産物をスズ、副産物を亜ヒ酸とし、土呂久鉱山は栄えていました。

労働者とその家族の住む人口は、多いときに土呂久の人口約800人(うち鉱山労働者400人その家族400人)を数えたといいます。この時期は亜ヒ酸による環境汚染が農林畜産物被害に被害を及ぼし、また人の健康被害がつづきました。

 

③  中島鉱山時代(1947年~1962年)

戦争中は潜望鏡の材料になるダンブリ石(ダンビュライト)という鉱石が採掘されました。戦前の鉱毒被害を経験した住民は猛反対しましたが、行政の仲介により、1941年から中断していた亜ヒ酸製造が1955年に再開されて、亜ヒ酸による環境汚染、農林畜産物被害、健康被害を再度受けることになりました。

最終的には、貿易の自由化によって安価で高良質な鉱物が海外から入ってくるようになり、1962年12月に閉山しました。

 

このように、土呂久鉱山は銀の採掘から、その後亜ヒ酸の製造になった時代ごとに鉱山としての対象金属の採掘とその影響が変わっていきました。詳細は、今後開設するWEBサイトに掲載していく予定です。次回は、「亜ヒ酸による環境汚染と農林畜産物被害と人の健康被害」について学ぶ予定です。このように、川原先生には土呂久(外録)鉱山の歴史について私たちのために貴重なお時間を割いて頂き、詳しい話を聞かせて頂きました。川原先生にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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