教育学部3年生を中心とした42名は、令和7年10月下旬より20日間の教育実習に参加しました。小学校教諭免許取得を目指して小学校へ、幼稚園教諭一種免許取得を目指して幼稚園(認定こども園)へ、それぞれ実習に赴きました。現場経験豊富な教員による丁寧な本学の実習指導は、自慢するところです。加えて夏期対策特別講座や様々な機会に招聘する現役教諭、およびベテラン講師陣の講話や指導、学内の各講義・演習での学びは、学生のなかに重層的に積み上がっていきます。そのうえで迎える教育実習、現場の先生方や児童・幼児と直接関わる体験は、何にも代えがたい学びとなり、学生を大きく成長させる機会となりました。
今年度、教育実習に参加した学生の代表として、ある学生の報告とエピソードを紹介いたします。
教育実習を終えて
教育学部3年 川島穂香
(写真掲載は小学校の許可を得ています)

今回の小学校での教育実習では、教科指導だけでなく、子どもたちとの関わり方や学級経営の在り方など、多くの学びを得ることができました。はじめは、慣れない環境で緊張や不安もありましたが、先生方や子どもたちに温かく支えていただき、充実した20日間を過ごすことができました。
授業づくりの場面では、指導案の作成から教材研究、事後研究会まで一連の流れを経験しました。また、ICTの活用場面では、タブレット使用のタイミングや指示の明確さによって、子どもたちの集中度が大きく変わることを学びました。
休み時間や給食、掃除など授業以外の場面では、子どもたちの素直さや温かさに触れ、教師という仕事のやりがいを強く感じました。特に、一人一人の良さを見つけ、子どもたちを成長させていくことについて、担任の先生の姿から学ぶことができました。
今回の経験を踏まえ、今後は子どもの実態把握の力や、指示の出し方、ICTの効果的な使い方などをさらに磨いていきたいです。実習で得た学びを生かし、より良い授業づくりができるよう努力していきます。
実は、川島さんの教育実習のエピソードには、まだ続きがあります。
それは、教育実習が終わり、大学の講義が再開された時、思わぬ形で届きました。
実習生が児童と過ごした日々、両者の想いが往還する、心温まるものでした。
「宝探しでお別れ」
古城小4年 榎木田太郎
ぼくたちの教室に、教育実習生のほのか先生が来ました。授業をしてもらったり、いっしょに遊んだりしました。
最後の日に、お別れ会をしました。ぼくは、宝探しが一番楽しかったです。折り紙で作った宝を探しました。星や三角などの形をしたものが宝です。
見つけるのは、難しかったです。カーテンのうらや、はいぜん台のすきまなどにかくされていました。ぼくは、黒板の下にかくされていた宝を見つけました。すぐに、「はい、次!」と思って探しました。
またいつか、ほのか先生に会いたいです。
(宮崎日日新聞令和7年12月4日発行第5面「若い目」欄掲載 小学校及び保護者の承諾あり)
太郎さん、ありがとうございました。
このメッセージは、公開された形でしたので私たちの目に届きました。が、おそらく、他の実習生が出会った子どもたちも、同じような気持ちでいてくださったのではないかと思いますと、太郎さんの記事は、教育学部全体にとっても大変嬉しいものとなりました。
このように、子どもたちは日々の出来事や素敵な出会いに、心を震わせながら過ごしています。次は、今回の実習で出会った児童の保護者から寄せられたメッセージをご紹介します。
古城小学校4年1組 保護者
帰宅した子どもが、「今日、教育実習の先生が僕たちのクラスに来たんだよ!」と嬉しそうに話してくれたのが、実習の初日でした。その日から20日間、ほのか先生と過ごす時間は、子どもたちにとっていつもと違う日常で、とても楽しそうでした。実習最後の日を迎える直前の週末は、先生に渡すプレゼントを一生懸命に作っていました。当日のお別れ会の朝、楽しみかと思いきや、寂しさが勝って、悲しそうに登校していきました。お別れ会では、涙が止まらない子もいたようです。ほのか先生が、それだけ子どもたちと向き合ってくださっていたからだと思います。
ほのか先生、元気いっぱいの子どもたちを20日間、全力で受け止めてくださりありがとうございました。大学卒業後、古城小の先生として再び会えることを、子どもたちは願い、楽しみにしています。
実習訪問を終えて
教育学部 佐々木由喜子
川島さんが実習させて頂いた宮崎市立古城小学校は、大正9年(1920年)に全国初の女性小学校長が誕生した創立150年以上の歴史を有する小学校です。「為せば成る」で有名な鳥原ツル先生は、若干25歳で学校長になられたそうです。現在も女性校長、土屋貴代先生が在任中です。土屋校長は、幼稚園教諭免許も取得されているだけでなく幼稚園教諭として勤務され、さらには園長の経験もお持ちの方でした。教育界が抱える保幼小連携の課題にも柔軟な考えを携え、その気さくなお人柄は、誰に対しても温かく、学校全体がふんわりと柔らかい空気をまとっているようでした。本学教育学部には、小学校教諭免許に加えて幼稚園教諭一種免許の取得を目指す学生が多数おります。こうした素晴らしいロールモデルがいらっしゃることを、是非、学生にも伝えていきたいと思いました。
さて、私が実習訪問のため、古城小学校にお伺いしたのは11月初旬のことでした。この日の川島さんの研究授業は、4年生の国語「慣用句」をテーマとした内容でした。
冒頭、川島さんは児童に向かって語りかけました。「先生はこの前の休みに温泉に行って、羽をのばしてきました。さあ、みなさん、“羽をのばす”とは、どういうことでしょうか。わかる人?」
「はい!」大きな返事とともに、たくさんの児童の手が、まっすぐ上に伸びました。
川島さんは、用意していた設問に一人一人の名前を呼びながら発表させ、板書し、辞書を引かせながら研究授業は予定通りに進んでいきました。児童はしっかりと川島さんの話を聞き、学習を進めていました。
クラス担任で川島さんの指導教諭である眞茅さとみ先生は、土屋校長いわく、細やかで工夫とユーモアに溢れた指導をされる先生ということです。眞茅先生が児童とともに作り上げてこられた学びのスタイルがしっかりと築かれているからこそ、川島さんも自分の持ち味である丁寧さで、児童とやり取りできるのであろうと感じました。
今回の教育実習を通して、川島さんは眞茅先生や児童の皆さん、古城小学校という素晴らしい出会いを得ました。この経験はきっと、川島さんのこれからの人生を支えてくれることでしょう。
宮崎国際大学教育学部では、今年も、古城小学校を始めとする多数の小学校、幼稚園(認定こども園)に教育実習生を送り出し、それぞれの学生が実に丁寧なご指導を頂きました。お世話になった先生方、日々奮闘される先生方に、この場をお借りして、敬意と尊敬、そして何より感謝の気持ちをお伝えできればと思います。ありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
(本記事の作成にあたり、宮崎市立古城小学校とその関係者の皆さまに快くご協力頂きましたことを心より感謝申し上げます。)