2025年3月に宮崎国際大学大学院国際教養研究科修士課程を修了した黒木高雅さんが、今年の秋から1年間、英国にある世界最高水準を誇るオックスフォード大学に給付型奨学金付き客員研究員(Visiting Scholar)として受け入れられることが決定しました。
現在は、同年春から本大学の国際教養学部にて講師をされています。今回は、そんな黒木さんにこれまでの経緯について詳しくお話を伺いました。これからのご活躍を楽しみにしています。
【プロフィール】
黒木 高雅さん
宮崎国際大学 国際教養学部 比較文化学科
2023年3月卒業
宮崎国際大学大学院国際教養研究科修士課程
2025年3月修了
宮崎国際大学 国際教養学部 非常勤講師
2025年4月~
<担当科目>
アカデミック英語1、コミュニケーション英語1
宮崎国際大学 大学院に進学した理由は?
私は英語という言語そのものの習得以上に、英語を手段として何かを学ぶことに強い関心を持っていました。また、特定の分野に限定されることなく、幅広い学問分野を横断的・総合的に学べるリベラルアーツ教育にも魅力を感じていました。宮崎国際大学のオープンキャンパスに参加した際には、教授と学生の距離が近く、大学生活のほぼすべてが英語で行われているという、まるで英語圏の大学に身を置いているかのような学習環境に大きな感銘を受け、宮崎国際大学への進学を決意しました。
学部での4年を通して、入学前に期待していた教育環境や学びのスタイルは、まさにその通りに実現されていました。 1年生から専門的な科目も含めて、すべての授業が少人数制および英語で実施され、一般的に大規模な講義形式では得られない、教授と学生間のディスカッションを重視した密度の深い学びが日常的に行われていました。この経験から、宮崎国際大学大学院への進学を決意し、引き続きこの大学で学びを深めることを選びました。
宮崎国際大学 大学院で学んで良かったこと、今の自分に活かされていることは?
急速にグローバル化が進む現代社会において、私たち一人ひとりに求められている最も重要な使命は、より良い世界を作るために貢献することだと信じています。しかしながら、今日の複雑な課題は世界規模で、単一の学問分野の知識だけで解決できるものではありません。宮崎国際大学での学びを通して、私はこの使命を果たすために不可欠な2つのスキル、すなわち「世界で通用する英語」と「学際的な視線から知を探究する批判的思考力」を培うことができました。
学部から大学院までの6年間、私は文学、歴史学、哲学、言語学、政治学、経済学、リーダーシップ学といった分野の授業を履修し、幅広い知識を学ぶ機会に恵まれました。特に印象に残っているのは、当時の哲学担当だったブラウン教授による倫理学の授業と、歴史学担当のヒメネス教授による西洋思想史の授業です。これらの授業では、アメリカの大学で実際に課せられる相当の教材や資料などを使用するだけでなく、それらを分析しながら読み解き、それらに対する自身の視点を明確に表現する力は求められました。さらに、高度な英語で書かれた歴史書や哲学書を読解し、要約をし、そこから得た知見に対する自分の考察をエッセイとしてまとめる課題や、プレゼンテーションなどを通して、英語での思考力および表現力の両面で大いに鍛えられました。
こうした経験は、将来、国際的な大学機関で研究者として歩んでいきたい私にとって、かけがえのない財産となっています。「無限の可能性がある大学生」として向き合い、常に高い挑戦を与えてくださった教授の方々、そして互いを刺激し合った仲間に心から感謝しています。
オックスフォード大学を目指したきっかけは?
英語教育にも関心がありますが、私の主たる研究関心は応用倫理学にあります。そのため、学士課程と修士課程のいずれにおいても、この分野をテーマに卒業論文、修士論文を執筆しました。応用倫理学は比較的新しい学問でありながら、オックスフォード大学はその確立された研究基盤により、応用倫理学の研究に置いて世界を牽引する存在であり、The Center for World University Rankings(CWUR)などの世界大学ランキングでもこの分野で常に世界1位と評価されています。さらに、私がこれまで強く影響を受け、尊敬している哲学者の多くはオックスフォード大学出身であることから、オックスフォード大学は私にとって自然と「ドリーム・デスティネーション」となっていました。
オックスフォード大学では、どのような研究をしたいですか?また、今後、自分の生活にどう活かしたいですか?
今年の秋からオックスフォード大学に1年間、給付型奨学金付き客員研究員(Visiting Scholar)としての受け入れが決まりました。そして、この期間中、研究所所属の教授の指導のもとで研究を行います。応用倫理学は、従来の理論的な倫理学の枠組みにとどまらず、より実践的かつ学際的なアプローチを目指す分野として進化を続けています。その背景には、医療倫理学や生物倫理学といった応用倫理学の課題において、哲学的な知見に加え、医学や生物学の専門知識や科学的エビデンスに基づいた議論を行い、それを政策へと反映させることで社会に貢献する、いわば「思想を行動へと繋げる」、という理念があります。
私はこの1年間で、応用倫理学の研究を根本的に学び直しながら(より高度な文献レビューや研究方法など)、動物倫理学における主要な課題に焦点を当て、研究論文の執筆に取り組む予定です。また、オックスフォード大学という世界有数の歴史ある教育の場に滞在し、研究所の教授や研究員との交流を深めながら、同大学ならではの文化や生活を体験できることも、大きな楽しみのひとつです。
これから宮崎国際大学 大学院を目指す学生へメッセージをお願いします。
研究活動に関わらず、将来、国際的な舞台で活躍したいと考えてる方にとって、宮崎国際大学ではその夢を実現するために必要なスキルを身につける絶好の環境です。グローバル化が進み前代社会において、英語は世界の共通語としてあらゆる場面で使われます。そうした中で、国際社会で活躍する人材には、「英語ができてすごい」ではなく、「英語ができて当たり前」という期待が寄せられています。
さらに求められるのは、単に英語を話せることではなく、英語で専門的な知識を理解し、発信できる能力、すなわち「中身のある英語力」です。これは、ただ英語を言語として学ぶだけでは身に付きません。
在学生の皆さんには、この素晴らしい学びの機会に感謝し、最大限に活用していただきたいと思います。そして、これから宮崎国際大学・大学院を目指す皆さんには、個人としても学問としても国際人として大いに成長し、この国際的な学びの場で得られる貴重な経験を存分に楽しんでいただけることを願っています。