2024.03.18

お知らせ

【MIUコラム】算数・数学を学ぶ側から教える側へ ~はじめの一歩~

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世界各国でも学ばれている算数・数学

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小学校では、13の教科を学びます。、そのうちの一つが算数です。算数は、アジア地域、アフリカ地域、中東、中南米など世界各国でも教科の一つになっています。
私は、青年海外協力隊員(数学教師)として、エクアドル共和国の首都にあるキト市役所教育課に勤めたことがあります。途上国の学校教育でも、算数・数学は主要な教科です。このように、算数・数学を学ぶことによって身につく力は、全世界で認識されています。
では、どのような力が身に付くでしょうか?
例えば、根拠や事実を積み重ねながら、結論を導き出す思考力などです。
また、数理科学やデータサイエンスが注目される現在では、数学が果たす役割、数学を学ぶ意義は、ますます重要となっています。
小学校から高校までに、いかに数学を学ぶか、子どもがどの程度数学を身につけたか、算数・数学を教える教師には何が必要か、などを明らかにすることは、学校教育において重要です。最近では「STEAM教育」※など、教科横断的な学びも重視され、算数・数学だけでなく、理数科と見方を大きくして、算数・数学教育を考える必要があります。
※Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念

「先生」には数学力と授業力が求められる

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国ごとの学力の実態や指導する内容は異なりますが、その構図は共通です。
授業には子ども、教師先生、教材が存在し、先生には数学力と授業力が求められます。
私はいくつかの国の算数・数学教育を見て「日本で使われている教科書の質の高さ」「授業における指導内容の正確さ」を実感しています。
教師が分かりやすい算数の授業を行うには、「算数・数学の原理、原則、性質、特性」の正確な理解が必要です。
具体的に、小学校2年生で学ぶ内容を見てみましょう。「二千九百二十三を数字でかきましょう。」という問題がでます。
この問題を学ぶのはなぜでしょうか?

解説の前に、こちらの問題を見てみましょう。 

【問題】
AとBの2つの国の人口は、それぞれ
A国:三億七千万三千二十 人
B国:五千八百十二万七千二百八十五 人
この2つの国の人口を合わせると何人ですか?

多くの人は漢数字を算用数字に直して、筆算を使って計算したのではないでしょうか。
算用数字の方が、筆算ができるなど、計算しやすいことが理由でしょう。
では、なぜ漢数字だと計算が困難なのでしょうか?
その点に着目すると、漢数字には値のない桁に数がなく、算用数字は値のない桁にも0を用いて、全ての桁を明示する、という特徴があります。漢数字のような記数法を「桁記号記数法」といい、算用数字のような記数法を「位取り記数法」と言います。この記数法の違いが、計算を容易にする理由になっています。

先生が算数・数学の考え方を正しく理解することによって、指導力も磨かれる!

小学校2年生の問題に戻りますが、もちろん小学生に「記数法が~」と教えるわけではありません。算数を教える先生が、記数法についてしっかり理解することで、小学校2年生が学ぶ内容を正確に、楽しく、そして次の学年に繋がる指導になっていきます。
算数で習う内容は大人にとってはそれほど難しくありません。しかし、算数・数学の考え方を専門的に身に付け、算数・数学を学ぶ意味や楽しさも十分に指導できる先生になってほしいと思います。

今回のコラム担当者は
教育学部教授 渡邊耕二先生(専門:算数教育・数学教育・数学教育開発)渡邊先生の教員メッセージ

宮崎国際大学教育学部では、高い教育実践力を身に付けるために、多岐に渡る教科教育法・実習などの科目を履修できる体系的・段階的なカリキュラムを組んでいます。教育学部特設サイトはこちら

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